僕は
僕を見失いそうだった。
だから
一輪の薔薇を描いたんだ。


いつもね
誰かを見ていてさ。

その誰かを
花に重ねて
その花に
誰かの表情を見出して
そうしていつも
花を描いていたんだけど。

そのために
いつも誰かの心を聞いて
いつも誰かの表情を見て
いつも誰かの言葉に反応していたら
僕は
気付いたら
僕を見失いそうになっていたんだ。

ある晩
苦しくなっていることに気付いた。
んだけど
たぶん
ずっと苦しかったんだと思う。
それが
その晩に
限界に達したのかもしれない。

だから酸素を欲した。
でも
​それは
誰かがくれるものじゃなかった。

それで
一回
誰かを見るのをやめようと思ったんだ。
そう
やめようと思ったんだよ。

初めて
自分を描いてみようと思ってさ。
初めて
自分のために
花を選んだんだ。


お気に入りの花屋
いつも誰かを思い浮かべて見ていた花たち
その日は
たった一つの
真っ白な薔薇にしか目がいかなかった。
今まで
一度も選んだことのなかった
真っ白な薔薇に。

でね
帰ってきて
花瓶にその白薔薇をさしてさ
眺めたんだよ。
ここに
今の自分の心を映そうと思って。
まずは
今の自分の心がどんななのかを映そうって。


それで描いたんだ。
きっとシンプルじゃない。
言葉にならない。
だけど確かに感じていたものたちを
色を使って
白の上に重ねて。

そうして描き上げてみたらさ
初めてちゃんと見れたんだよ。
自分の心を。
見てあげられたんだ。


だけどさ
不思議なんだけど
けっこう綺麗でしょ?

自分で言うのも変だけど
心が繊細だからだよね
きっと。

繊細だから
色々と混ざり合うし
角度を変えると
また違った姿に見える。



僕は
きっとこの先もまた
誰かの表情に心揺らして
誰かの言葉に反応して
そしてそれをまた絵にしていくんだと思う。

でもね
この薔薇を描いた日を境に
僕は僕の存在がはっきり見えたから
きっと
二度と
見失うことはない気がしてる。

繊細なまま
揺れても
折れることなく
様々な色を取り込んで
僕なりのカタチに変えていく。



僕は僕だった。

見失いそうだったんじゃない。
ただ
僕が
僕を見てあげられていなかっただけだ。


ROSE.
僕が僕を愛した瞬間の絵。

君も
もし
君を愛せていないのなら
花に例えて
自分を映して
​愛せますように。



Love, Naoki
About designer Naoki 


ROSE  Collection.


Clutch Rose.(クラッチバッグ) | NAOKI MULAKAMI
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