• Naoki.

光。

香りのたつ和室に

クラシックなピアノがあった。


だから弾いた。



いつしか色のついた細いものたちが

手の届くところにころがるようになった。


だから描いた。



いつだって目の前の書物の

その背の文字は賑やかだった。


だから読んだ。




だけど。



光は初めから

当たり前のように輝いていた。


だから闇を求めた。



笑顔はそこらじゅうではしゃいで

その声は高らかだった。


だから涙を探した。



祈りの響きはいつだって

希望を謳っていた。


だから

だから僕は


悲痛な声で叫んだんだ。




そこにあるものを

真っ直ぐに手に取るのは

そこに僕が映りそうだからで。


音を出せば

色を紡げば

文をなめれば

やはりその通り

僕が映る。


だから僕は

僕を知れる。




そして。


そこにあるものから

背を向け反対を求める時も

その反対にこそ僕の中の「式」が映るからだ。




ねえ。

光は当然光として

その他のものたちとは全く別物と区別されて。

だけど僕は

光はなぜ光であれるのかを

いつも

知りたいんだよ。


誰だって幸せになりたいと言うんだ。

だけど

幸せになりたいと思ったことのない僕で

それは

幸せを感じられるために先に感じているはずの感情にこそ

本当に大切な

向き合うべき事実があるのではないかと思うから だ。



君が祈る横顔を見て

希望的な言葉を並べる唇が

反して震えていたのを見た。


ねえ。

願いは放つとして

だけど

希望を並べる前に

見なければならない一点が

あるのではないかと思ってみる。



誰だって弱いことを知っている。

だけど

それ以上に強くあるからこそ

君は何かを願っているんじゃないのかな。


目の前にあるものに

素直に手を伸ばすのと同じくらいに


目の前で起こる現象の

その理由に手を伸ばして


そして


君にしか知れない

君がいるからこそ知れる

その真実を持って

改めて光を求めてみるのは どうかな。



Naoki.