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  • 執筆者の写真Naoki.

雨が好きだった。

雨が

好きだった。


だけど

雨の日はいつも

良い思い出が残らなかった。


だから

雨の日に誰かに会うことを

喜べなくなっていた。




あの日は雨だった。

君が前日に

「いい感じの雨だったらいいな」と言った。


そりゃどしゃ降りだと困るからだろうけど

本当は晴れてほしかったのに

それでも

雨ごと丸ごと抱きしめて俺に会いたいと

言ってるようにも聞こえた。


雨が

楽しみになった瞬間だった。




横断歩道の向こう側に君はいた。


一歩一歩

近づくほどに鼓動をおさえようとした。


あの有名なアラビアのお姫様のような

くっきりした二重に秋らしいゴールド。

小さな顔に

ラウンドが綺麗なボブカット。

だいたい心と裏腹に

すましがおなんだ。

もっと崩したいんだけど。




最後までほとんど雨だった。

そして素敵だった。







雨が

好きだった。


雨の中で君に会うなら

もっと好きになれそうだ。



Naoki.



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