• Naoki.

春の始まりに。

更新日:5月1日

花に出会った。

花はそこに咲いているから

そこに会いに行くんだ。


雨が降れば

木の下で

しゃがみこんで

木の話を聞いた。


鳥に出会った。

鳥は飛びまわっているから

来たら顔を合わせた。


そんな日々を送っていた。





ある日

季節の変化を知らせる風が吹いて


この風はどこへ行くのだろうと気になったら

僕の意識は

風の背中を追っていた


風は

そんな僕の体ごと包んで

舞い上がって

僕に上を知らせたから


木の先

重なり合う葉の隙間に

雲が流れるのを見れた



そして



光がさした――――。




音もなく

でも大きく

僕の心が動いた。



雲が流れる方へ


花に別れを告げることも忘れて

木と交わした言葉からも遠く

鳥が戻ってくる場所から離れて


道なき道の向こうへ

衝動だけを走らせて



いつの間にか

目の前には

先の見えない草原が

豊かな解放感に揺れていて

僕は

胸の高鳴りを覚えたんだ。




両手を広げて光を歓び

駆けて風と戯れ

夕暮れに感動し

星の瞬きに夜を知った。


そして振り返って

僕のいた場所は

森というところなのだとも知って


一礼


再び前を向いたら

今まで以上に強く

だけど穏やかに

明日を願えたんだ。


新しい景色を望んだ。







森に入る前の僕を忘れている。


いつか

森にいたことも忘れるのだろう。


それを望む僕がいる。




だけど

いつか

どこかでふと

突然吹く風のように

思い出すことがあるなら

懐かしく思い振り返って

かすれそうに遠くなったそれらに

改めてまた一礼するのかもしれない。







ありがとう。


春の始まりに


何かが終わって


何かが始まった。




出会おう。

同じく

明日を願い

今にときめいている人に。



Naoki.