• Naoki.

失われた懐かしさに、手を伸ばした。

驚いた。


君の言葉に。


だから沈黙した。


だけど

逃したくなくて

短い言葉を

葛藤の揺らめきの中で

発したんだ―――。




君がふかす風

感じたことのない温度

それなのに

なぜか心の奥で顔を出す懐かしさに


戸惑っている。


それでも

その風にあたると

まるで

雪が解けるように

あらがえなくて

それはあまりに自然で

それでいて

とてつもなく

あったかいんだ

強烈なほどに。



君はいつも

僕の手の届く

だけど

ほんの少し後ろにいる。


そして

雨の日には

そっと

後ろから

傘をさしてくれる。



君の口癖のような


『何かできることない?』


甘えられなくて

ただ

君の顔をじっと見る。


んだけど

君も僕をじっと見るから

照れて

前を向き直して歩く。



僕の歩く分だけ

ちゃんと聞こえてくる足音

心地よく。


だから

たまに止まって

振り返って

少し戻っても

僕から君に

してあげたくなるんだ。



向き合って君に

ゆっくり

丁寧に選ぶ言葉

愛のカタチ。


ありがたくて

ごめんねって

君が僕に向ける

その全てに。


愛おしくて

可愛くて

まだ言葉を探す僕を

君は

見上げて


『ねぇ 傾いてよ』



驚いた。


だから

何も言えなくなった。


だけど

求めた

思考より早い

心の動き。







『傾かしてよ』



Naoki.