• Naoki.

夜に咲いた大輪の花、僕に向けた強い香り。

同じ場所に行ったら

もう一度君と出会った。


今日も

名前を聞かないまま

まわしたステレオのように話が始まり。


落ち着いた君は

落ち着いた様子で

僕のことを知りたがった。



そして

話の流れの途中


『過去のものはどこにあるの?』

聞いてくるから。



『過去のものはもうないよ』

答えたら



『あなたは今を生きているのね』

と言って

僕の関心を掴んだんだ。



『でも

形として残っていなくても

あなたが今ここにいることが

かつてそれらがあった証拠なんでしょうね』




僕は

突然

抱きしめられたかのような気持ちになって

咄嗟に隠していた。

気付かれないように。


そんな

まるで塞き止めていた感情が

溢れるかのような感覚を

君の言葉が

与えた瞬間。


君は

続けて

さらに

深いところを

たずねてきた。


僕は

ものすごく揺さぶられながら

息をのんで


『そうだね

きっとどんどん変化していく

時は二度と戻らないのと同じように

季節のごとく

そうかもね』

って。




始まりから

君の言葉の響かせ方が

まるでオーケストラを聞いているかのようで

君の質問に

答えた僕の冷静さは

ギリギリだった―――。



そんな僕に

君は

『あなたと話していると

広い原っぱにいる感じ』

と言って

僕から言葉を奪う。



とりとめのない気持ちに

どうしようもなくなる僕に



『私が言った原っぱは

例えるならハウルの動く城の夜の原っぱのイメージ

夜と満月っていう感じの』



そして



『私の名前は・・・』







僕が一度も呼んだことのないその名は

大輪の花のような

奇麗な響きで。


冷たい夜に

言葉が万華鏡のように咲いた

奇麗な一時だった。



Naoki.