• Naoki.

夜が好きで、だから月が好きだった。

夜が好きで

月が好きで

月が浮かび上がらせる水の陰影が好きだった。


長い間。




でも

森を抜けて

空が果てしなくなって

太陽を遮るものがなくなって

気付いたんだ―――――


太陽の光が照らすから

夜が闇ではなく夜でいられることを。



そして


僕はまるで

夜は太陽とは全く違う世界で

夜の世界を太陽とは分離させて

夜は昼と違って神聖な世界かのように

そんなふうにさえ思い込んでいたのかもしれない

って。





そしたら君が


『私

明るさだけが好きだったんだけど

暗さの味わいや素敵さを知って。。

雨の日沈んだ街並みにある本当は優しい静けさとかね

最近こういう美しさに魅力を感じるの』


と随分タイムリーに思いを重ねてきた。





夜を好きだった人間が

朝を好み

昼にはじけて笑うようになって


晴れが良かった人間が

夜を好み

雨に佇んで微笑むようになった。



ここで

僕らは

互いに

真逆へ行ったのだろうか。


いや

そうではないのは

明らかだ。


話し合いや伝え合うことのもっと先

自らが飛び込んで知ろうとした世界の分だけ

自らの内側が広がって

自然と相手が自分の中に入ってこられるようになって


つまり


僕らの認知する「世界」が円を描きながら広がって

僕らは自由に一緒にいられるようになるんだ。


朝でも昼でも夜でも

晴れの日にも雨の日にも

太陽の香りも雨の香りも好んで


僕らは

僕らを縛っていた様々な思い込みや決めつけからもっと解放されて

自らを解放していく。


だから


歓んだ。






そして

明るさの中から飛び出してきた君を見ながら

どうして夜だけが好きだったのか

分からなくなった。


今は

どうしようもなく

太陽が好きで


太陽が好きだった君が見つめる夜はもう

僕が独り占めしようとさえしていた夜ではない。







でも

確かに

月が好きだった。


だから

太陽の光を好きになったんだ。



Naoki.