• Naoki.

吸い込んだ空気、吐き出すと震えた。

『終われない』


塞き止めていた気持ちを溢すように


君が

戻ってきた。



あの夜から始まった

僕らの第2章--。



何度もこっちを見て

何度も僕を呼んで


止まらない君の思いは

たぶん

ついに

僕の気を向かせたのかな


そっちに。




いつだって風のように

時を抜けて

昼から夜のように

温度を変えて

素知らぬ顔をする僕なのに


君は

一時の残り香を

すがるように抱いて

温度も変えずに

たった独りで突っ立ってるから。


背を向けて歩いても

振り返るとまだそこにいて

繰り返して

たまらなくなって

とうとう

ほんの少し苦しくなったんだ。



重ねてきた時間の中

煌めき溢れる君の瞳に

映っていた

沢山の僕


いつの間に

僕の記憶の中にも溢れてた。


器用でもないのに

わざわざ米粉で作り出したパイ生地

失敗して

でも

楽しそうに笑ったり


僕が何気なく言った話

大事に拾って

一人

図書館に出向いて勉強していたり


バッサリ切ってきた髪に

別人のようなメイクをして

赤い服を着だしたり―――


沢山

本当に沢山

一生懸命な君ばっかり。




それでも

君を沢山泣かせてしまうって

何度も

背を向けてきたのに。。



突っ立ってる君の方に

体を向け切ったら

君は少し背筋を伸ばして

切実な視線



『ずっとそこにいるつもりかー?』


『だって動けないんだもん』


『なんでー』


『・・・』



ため息


僕でいっぱいになった

君まるごとに



『そんな顔してこっち見るなよ』


『だって・・・』


『・・・?・・・・泣いてんの?』


『・・・』


『・・・泣くなよ。。』


そらした視線

心に残像

君の湿った瞳


揺れて


伝わりすぎる

痛いほどの思いに


一度息を整えた。




『後悔すんなよ?』




急に呆然とした君の顔


『来るのか?

来ないのか?』




ボロボロに泣きながら

駆けてくる姿


愛おしさで

胸が

ぎゅっと

また

苦しくなって


深く吸い込んだ空気

吐き出すと震えた。



僕の負けだ―――。



Naoki.