• Naoki.

僕は、世界が暗転することを知った。

突然だった。


それは

ものすごく大きな衝撃だった。


確かに見えていた景色は

一瞬で崩れた。


僕は

何が起こったのか

茫然自失としながらも

確かめなければならなかった。


だから君に

『君の持つ真実を話してほしい』

今までと同じように

君と向き合ったんだ。


だけどその話の全容を聞くことは

なかなか容易ではなくて

それでも

僕は少しずつ君に問いかけ

君は少しずつ話し出しては隠し

そこに僕は違和感を覚えてまた確認し

君は隠しながらもまた話した。


気付いたら

君から出てきた様々な嘘で溢れかえり

僕たちはそれらに取り囲まれていた。


いや

僕が

君から溢れた世界に取り込まれていたんだ。


ついに

君の形相から

人の持つ温度と言うものが消えた。

それは

今まで僕が見ていた君を超えて

まるで別人のようだった。


溢れかえったその全てを君は認め

謝りながらも不気味に微笑み

君は僕に

君の中の最も中心的な部分を

すなわち

この長い時間の間持っていた君の真実を

僕に見せてきたんだ。







『貴方は

愛そうとすることが間違いなのよ


人は劣等感で相手と自分を比べ

その劣等感が傷つかないように

自分の作った殻からけっして出てこないわ


だから貴方の愛も受け取りようがない


愛すだけ無駄よ


ううんそれ以上なの


貴方は相手を愛するほど

相手の持つ劣等感を刺激するんだから


そしてね

嫌われたくないのよ貴方に

だから偽るの

だから貴方の見る世界は偽りなの


私だけだと思う?

きっと今まで貴方に接してきた人たちも

みんな貴方に偽ってきたはずよ


全部嘘なの!

貴方は偽りを愛してきたのよ

偽りを愛してどうするの?


愛そうとする貴方は騙しやすい


貴方は

人が自分を守ろうとする

その本気さを知らないのよ


私は貴方に傷ついてほしかった

だって貴方の持つ愛は傷つくべきだから


その愛

私で最後にして

私を最後にしてよ

私によって壊れればいい』






世界は暗転した。


暗闇の中

ギリギリの心で


『体には気を付けて


ちゃんとご飯は食べて


怪我や事故で体を傷めないで


帰り道も

気を付けて帰って』


こう伝えるしかなかった。







きっと

今は衝撃の方が大きくても

時間と共に

痛みは増すだろう。


君は多くを僕に教えてくれた。




Naoki.